トルコ免震建物視察研修(2019年10月14日)


2019年10月にトルコ免震建物視察研修を行いました。高山を視察団団長として、相馬を含め九州免震普及協会の有志、計7名にて以下の視察を行いました。

【1日目】Istanbul Technical Universityでの講演会・見学

イスタンブール工科大学(ITU)は1773年、当時の皇帝ムスタファ3世によって設立されたオスマン帝国海軍の技術学校が起源であり、世界でも3番目に古い技術系大学です。

1944年に改組され、名称も現在のイスタンブール工科大学となり、1946年に建築、土木工学、電子工学の課程を有する大学となりました。

イスタンブール工科大学の主に学生さん約100名向けに、高山・木本氏が講演を行いました。

日本で起きた地震や免震建物観測記録を紹介し、免震建物(病院)が機能停止にならずにすんだ事や免震建物の揺れ方と非免震建物との揺れの違いの動画を紹介し、免震建物の安心・安全について説明しました。

講演のあと、SUTCU助教授に土木工学科の材料実験棟、構造実験棟、屋外暴露試験場を案内いただき、実験の概要・状況などの説明をしていただきました。

ITUのSUTCU助教授
ITUのSUTCU助教授
ITU学部長と記念写真
ITU学部長と記念写真
材料実験棟
材料実験棟

【2日目】 免震建物の見学

(1) ISTANBUL BASAKSEHIR CITY HOSPITAL見学・説明会

日時 2019年10月15日(火)10時00分~

ISTANBUL BASAKSEHIR CITY HOSPITALは、アメリカ製のトリプル球面すべり支承(Tripie FPS)2040台を用いた、10階建3棟と4階建3棟の計6棟の病棟が1つの床により一体化された、おそらく世界最大の免震病院です。延床面積は100万平米・病床数2682床となっております。トルコ政府は、一定規模以上の病院を免震構造とすることを義務付けています。

地下3階と地下4階に球面すべり支承が設置され、地下3階のすべり支承は床面から2m以上高い柱頭に設置されていました。装置の状態は、少し発錆が見られ「維持管理」の重要性を感じました。

2020年6月完成予定とのことで、病院付近に地下鉄も開通し、大きな未来都市が創造される様を見る事が出来て心弾む気持ちになりました。

イスタンブール空港
イスタンブール空港
病院(周辺)完成模型
病院(周辺)完成模型
建物概要の説明
建物概要の説明
地下3階柱頭に設置されたFPS
地下3階柱頭に設置されたFPS

(2)Turkcell Data Center見学・説明会

日時 2019年10月15日(火)15時00分~

Turkcell Data Centerは、トルコの最も大きい通信会社 Turkcellが運営するデータセンターの1つで312の免震支承が設置され、マグニチュード9の地震に耐える事が出来る設計となっているそうです。

FPSが設置された建物と鉛プラグ挿入型積層ゴムが設置された建物の2棟で構成され、エキスパンションジョイントでつがながれていました。

データセンターということもあり、敷地内での外観撮影や免震層内の撮影は禁止でした。

これからトルコは、免震建物が増えていくと感じられます。維持管理・施工管理なども今より詳細かつ組織的に行っていかなければいけないのではないかと感じました。

【3日目】アヤソフィア、イスタンブール空港視察

アヤソフィアは、東ローマ帝国の代表的な歴史的建物であり、しばしばビザンティン建築の最高傑作と評価されています。とにかくスケールが大きく荘厳な雰囲気の大聖堂でした。引張抵抗材を用いずに、高さ56mの大空間ドームをアーチ構造とバットレスで支えるという構成は見事なものでした。もともとは教会で、後からモスクに変えられました。イスタンブール空港は最大級の免震構造で、免震部材は球面すべり支承が設置されています。

トルコでも免震構造の適用例が増えてきています。しかし、設計基準は独自に確立されていないためアメリカのASCE基準を適用していることが分かりました。

空港や病院を視察して、海外の先行事例を導入して免震構造をつくりはじめても、やがてはトルコの方がた自身の設計基準や設計哲学を制定することが必要であると感じましたし、日本も耐震構造・免震構造ともに優れた技術を海外へ向けて情報発信を行っていかなければと感じました。

 

最後になりますが、ITUのSUTCU助教授、RONESANS(病院の企業者)・Turkcellの関係者の皆様、このような素晴らしい機会を与えて下さりましたこと深く感謝申し上げます。

アヤソフィアでの集合写真
アヤソフィアでの集合写真
イスタンブール空港
イスタンブール空港